秋の行楽は危険生物にご注意を!スズメバチ、マダニの対策

秋の行楽シーズン。キャンプにピクニック、ハイキングを楽しむ人も多いと思いますが、気をつけたいのが危ない生物です。
そこで今回は、秋のお出かけ時に覚えておきたい「危険生物」について調べてみました。

日本最恐の野生生物「スズメバチ」

まずは、日本最恐の野生生物とも呼ばれる「スズメバチ」。
スズメバチは必要以上に巣に近づいたり刺激を与えたりしない限り、基本的に刺される心配は少ないですが、繁殖期の秋は要注意!
巣のそばを通っただけで襲撃してくることもあります。

スズメバチの種類

世界には67種類ものスズメバチがいますが、日本に生息するスズメバチは17種類。
その中から危険性の高い3種類をピックアップします。

最大&最恐!
オオスズメバチ

オオスズメバチは、スズメバチ類としては世界最大の種で、攻撃性、毒性ともきわめて強いスズメバチです。

女王の体長43~45mm。働きバチの体長27ー38mm。スズメバチ類としては世界最大の種で,攻撃性,毒性ともきわめて強い。主に土中に営巣するが,樹洞や伐根の下などにも営巣する。幼虫の餌としてコガネムシ,マツノマダラカミキリなどを好んで狩り,堅い外骨格もろともかみ砕いた肉団子を巣に持ち帰る。また他のスズメバチ類,アシナガバチ類を頻繁に襲い,セイヨウミツバチの敵としても有名。越冬から覚めた創設女王が5月ころに営巣を開始,7月ころに働きバチが,秋から晩秋にかけてオスと新女王が羽化する。巣の規模は本州では最大で育室(六角形の部屋)が3000~5000程度。なわばりを占有する性質が強く,樹液を吸っている働きバチを刺激すると襲われることがあるので要注意。
引用:森林総合研究所「森林生物 オオスズメバチ」(最終アクセス2023年11月1日)

刺傷件数No.1
キイロスズメバチ

キイロスズメバチは、近年都市部での営巣が注目されますが、本来は里山や疎林、林縁部などに生息しています。

女王の体長25~28mm。働きバチの体長18-24mm。日本で最も普通なスズメバチ類のひとつ。近年都市部での営巣が注目されるが,本来は里山や疎林,林縁部などに生息。日本産スズメバチ属で最大の営巣規模を誇る。成熟巣の平均育室数は北海道で平均約2000,本州西南部で約6000。攻撃性はかなり強い。閉鎖空間(巣箱,壁の間など)になされることが多いが,巣が収まりきらなくなると近くの広い空間(軒先,樹枝など)に引っ越して新しい巣を作ることが多い。こうした開放空間で見つかる巣は,ほとんどが7月末以降に新設された引越巣である。引越はミツバチの分封とは異なり,女王を含むすべての個体が新しい巣に移動し,旧巣は空になる。
引用:森林総合研究所「森林生物 キイロスズメバチ(=ケブカスズメバチ)」(最終アクセス2023年11月1日)

夜になっても飛び回る
モンスズメバチ

モンスズメバチは、攻撃性がかなり強く、日没後も活動することが特徴です。

女王の体長28~30mm,働きバチ21~28mm(写真上)。日本産は亜種flavofasciata Cameronとして扱われることもある。樹洞,人家屋根裏や壁間(写真下),伐根内部などに営巣するが,空間が狭くなると広い場所へ引っ越す性質がある。攻撃性はかなり強い。夜間も外役をすることがある。巣の規模は,最大で4000育房程度。餌としてセミをよく狩る。
引用:森林総合研究所「森林生物 モンスズメバチ」(最終アクセス2023年11月1日)

スズメバチの生態

スズメバチはハチの中でも大型で、獰猛な性格が特徴です。女王バチを中心に社会を形成し、巣を守るために大型動物をも攻撃します。
活動時間は主に朝から夕方で、日が暮れると巣に帰ります。
ただし、モンスズメバチは夜も活動していますので要注意です。

スズメバチの巣が近くにあるときのサイン

スズメバチの巣が近くにあるときのサインを覚えておきましょう。
サインに気づいたら、動きをとめて、静かにその場を離れましょう。手で振り払うと攻撃してくることがあるので気をつけましょう。肌や食べ物などに止まろうとしているのを払うときも、なるべく“そっと”払ってください。

【巣が近くにあるときのサイン】
・相手の周りをしつこく飛ぶ
・相手に狙いを定めるように空中で止まる
・カチカチと威嚇する音をたてる
・あたりに飛びかうハチの数が急に増える
・一定の方向に飛び始める
引用:ALSOKコラム「スズメバチに注意!秋の行楽シーズンに潜む危険!」(最終アクセス2023年11月1日)

スズメバチに刺されてしまったら?
応急処置

スズメバチに刺されてしまったら、慌てず応急処置しましょう。

【刺されたときの応急処置】
1.毒を取り除く
刺されたらすぐに毒を絞り出す、あるいは吸い出すことで、体内に取り込まれる毒の量をできるだけ抑えましょう。

2.傷口を冷やす
はれや痛みがある場合は、刺された場所を氷などで冷やします。そして、すぐに病院に行きましょう。

3.薬を使う
はれや痛みがひどいときは、ステロイド軟膏を塗ったり、抗ヒスタミン剤を服用します。これらは病院で処方してもらえます。

引用:ALSOKコラム「スズメバチに注意!秋の行楽シーズンに潜む危険!」(最終アクセス2023年11月1日)

スズメバチに刺されないための対策

スズメバチに刺されないために、以下のことに気をつけましょう。

長そで・長ズボン・帽子

長そで・長ズボン・帽子を着用し、肌の露出は最低限にしましょう。

黒はNG!

ハチは黒いものを攻撃するため、黒色を身に着けるのはやめましょう。白色や黄色が安全色とされています。

化粧品や香水など匂いの強いものを避ける

化粧品や香水などには、スズメバチに攻撃行動をもたらす警報フェロモンの成分が含まれていることがあるので、つけないようにしましょう。

ハチ用の殺虫スプレー

ハチの大群に襲われたとき、殺虫スプレーがあれば被害を最小限に抑えられる可能性があります。
※虫除けスプレーはハチには効果がありません

【番外編】刺された際の応急処置にポイズンリムーバー

ハチ毒を吸い出すことができるポイズンリムーバーは、市販されているのでぜひ携帯しましょう。ハチ毒アレルギーがある場合は「アナフィラキシー補助治療剤」も持っておくことをおすすめします。

ペットからの感染にも要注意「マダニ」

マダニは山林や草むら、ヤブなどに生息していて、生息場所に近づいた動物や人に寄生し吸血します。春から秋にかけて活動が活発になりますが、温暖な地域では冬でも活動しています。
市街地周辺でも自然が豊かであれば、畑やあぜ道などにも生息していることがありますので、注意が必要です。

マダニの生態

マダニの体長は、種類にもよりますが、成ダニでは吸血前で3~8ミリメートル、吸血後は10~20ミリメートル程度です。
一般的にマダニは、吸血するために地上1mほどの植物の葉陰で野生動物や人を待ち伏せして、その体に付着します。そして、比較的やわらかい部位の皮膚に咬み付き、セメント物質を分泌して固着し、その後、麻酔様物質の含まれた唾液を分泌し吸血します。吸血期間は長時間(数日から、長いものは10日間以上)で満腹になると自分から離れますが、それまではなかなか離れません。セメント物質で固着したマダニは除去しづらくなるため、皮膚科での処置が必要な場合もあります。

マダニはなにが危険なの?

マダニに咬まれると痛みや痒みはあるものの、スズメバチに比べて被害は小さいように感じます。何がそんなに危険なのでしょうか?
実はマダニは吸血自体が危険なわけではなく、媒介する感染症が怖いのです。最悪の場合、死に至ることもありますので、注意が必要です。

マダニの感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」

重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome :SFTS)は、主にウイルスを保有しているマダニに刺されることにより感染するダニ媒介感染症です。感染症法では四類感染症に位置付けられています。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の潜伏期間は6~14日。感染すると、発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)などの症状があらわれ、ときに、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などもあらわれます。

マダニに咬まれたら

マダニが皮膚に付着しているのを見つけたら、無理に引き抜こうとせず、すぐに最寄りの皮膚科や外科に行きましょう。自分で取ろうとするとマダニの嘴(くちばし)が皮膚に残ったままになる可能性もあるからです。
犬や猫などのペットも気をつけてあげましょう。

マダニ対策

草むらなどマダニの生息エリアに入るときは、長そで・長ズボンを着用し、帽子や手袋も使うとよいでしょう。足元もサンダルではなく、足全体を覆うことのできる靴を履きましょう。

さらに、

・首にタオルを巻く、もしくはハイネックのシャツを着る
・シャツの袖口は手袋の中に入れる
・シャツの裾はズボンの中に入れる
・ズボンの裾は靴下や靴に入れる

など、衣類の中への侵入をできるだけ防ぎましょう。

また、マダニのいそうな場所から戻ったら、衣類にマダニが付いていないか、体に付いていないかよく確認し、入浴やシャワーで洗い流すことも有効です。着ていた衣類はすぐに洗濯して、家の中で長時間放置しないようにしましょう。

咬まれたらすぐ治療!「ツツガムシ」

ツツガムシも非常に小さなダニの一種です。
河川敷や草地、雑木林、芝、野山などに棲息します。

ツツガムシの生態

ツツガムシ類にはアカツツガムシ・タテツツガムシ、フトゲツツガムシなどがいますが、ツツガムシは幼虫の時期にのみ、野ネズミや人などの体表に寄生(吸着)して、組織液を吸います(吸血ではない)。充分に吸った後は体表から離れて再び土中にもどります。
マダニと同じく、ツツガムシが媒介する感染症に気をつけましょう。

ツツガムシ病

ツツガムシ病とは、ツツガムシ病リケッチアという病原体によって起こる感染症で、一部のツツガムシ(全体の0.1~3%)がこの病原体を持っています。人には、病原体を持つツツガムシの幼虫に吸着される(咬まれる)ことで感染します。
10~11月は、卵から孵化したツツガムシの幼虫が動物への吸着活動を行う時期であるため、この時期に感染する人がほとんどです。
ツツガムシ病に感染すると5~14日後に高熱が出ます。皮膚には特徴的なダニの刺し口がみられ、その後数日で体に発疹がみられるようになります。多くの場合、だるさや頭痛、リンパ節の腫れなどを伴います。
有効な抗菌薬があるため早い時期に治療が行われると症状は改善しますが、治療が遅れると死亡することもあります。

ツツガムシ対策

マダニと同じ対策をして予防しましょう。

危険生物に気をつけて、秋の行楽を楽しみましょう!

【参考サイト】

蜂バトル「【スズメバチ図鑑】スズメバチ全17種類を網羅!対処法・駆除法も解説」(最終アクセス2023年11月1日)

厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について」(最終アクセス2023年11月1日)

岐阜県感染症情報センター「ぎふ感染症かわら版」(最終アクセス2023年11月1日)

東京都保健医療局「マダニ」(最終アクセス2023年11月1日)

東京都健康安全研究センター「マダニにご注意! ~マダニQ&A~」(最終アクセス2023年11月1日)

国立感染症研究所「ツツガムシ病とは」(最終アクセス2023年11月1日) 

東京都西多摩保健所「マダニ・ツツガムシに気をつけましょう!」(最終アクセス2023年11月1日)

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