【山形県上山市】「何もしない贅沢」の先へ。山形・名月莊が30周年で挑む、地域とつながる「お茶」と「バリアフリー」の新しい形

2025年にスタートした「SBIふるさと応援クラウドファンディング」。今回は山形の老舗旅館のプロジェクトを紹介します。

山形県上山市かみのやましの旅館「名月莊めいげつそう」が、初めて宿泊客以外にも開かれた場所を作ろうとしています。経営70年。現在地に移転して30周年。毎年1室ずつ改装し、部屋ごとにファンがつくこの旅館が、1880年創業のお茶屋・岩淵茶舗いわぶちちゃほと組んでカウンター茶房を増設します。バリアフリー客室の整備も含む今回のプロジェクトにはまとまった資金を要しますが、驚くべきことにクラウドファンディングの開始を待たずして、常連客からの寄付も集まっています。「何もしない贅沢」で知られる旅館が、なぜ今「外」に向けた場所を作るのか。30周年プロジェクトの全容をお伝えします。

部屋ごとにファンがいる旅館

全20室、毎年1室ずつ改装。部屋を指名するリピーターを生み、改装原資が回る旅館です。

名月莊の客室

名月莊めいげつそうには「旅館のファン」だけでなく「部屋のファン」がいます。

蔵王連峰を望む約4,000坪の敷地に、離れ風の客室が点在しています。素泊まり専用の蔵のツインベッドルームを含めて全20室。曙、舞、霞、暁、虹——すべての部屋が漢字一文字の名前を持ち、渡り廊下でつながる客室はそれぞれ異なる意匠で設えられています。毎年、テーマを変えて1室ずつ改装する。改装のたびに、その部屋を指名して予約するリピーターが生まれてきたといいます。毎年の改装費用をかけて、ひとつずつ部屋の個性を磨いてきました。

この方法は一度に全室を改装するよりも時間がかかります。けれど「次はどの部屋に泊まろう」という再訪の動機を、創業以来およそ70年、現在地に移転した1996年から数えても30年かけて積み重ねてきた結果でもあります。30周年を機にクラウドファンディングに踏み切った背景には、常連客から届いた「改装費用を寄付したい」という声がありました。実際に、クラウドファンディングの開始前に寄付として集まっています。

裏を返せば、毎年の改装費用を回収できるだけの指名予約率がある、ということです。1室改装→指名リピーター獲得→次の改装原資。この循環が創業以来回り続けてきました。カウンター茶房の増設は、この循環を宿泊客の外側にも広げようとする試みです。

名月莊 30周年プロジェクト クラウドファンディングページ

「何もしない贅沢」を支えるもの

伝承野菜の食事、福祉法人のクッキー、子ども食堂への提供。「何もしない」を支える地域との関わりがあります。

名月莊が大切にしているのは「何もしない贅沢」。宿泊客がただゆっくり過ごせる空間です。

ところが、その「何もしない」は膨大な「する」に支えられています。食事には山形の伝承野菜を使い、部屋菓子には地元の福祉法人が焼いたクッキーを採用しています。地域の子ども食堂への食事提供や、地元の芸能・アーティストの活動支援も続けてきました。

取り組み 内容
食事 山形の伝承野菜を使った料理
部屋菓子 地元福祉法人のクッキー
地域支援 子ども食堂への食事提供
文化支援 地域芸能・アーティストへの支援

宿泊客の目には映りにくい活動ばかりです。けれど、この地域への関わりが名月莊の「贅沢」の底流にあります。福祉法人のクッキーがお茶請けとして部屋に置かれている——その選択ひとつに、70年近くこの土地で営んできた旅館の姿勢が表れています。

名月莊 30周年プロジェクト クラウドファンディングページ

なぜ70年経って「泊まらなくても来られる場所」を作るのか

1880年創業の岩淵茶舗と組み、予約不要のカウンター茶房を増設。バリアフリー客室の整備と合わせ、大きな決断を伴う規模の総事業費を投じたプロジェクトです。

名月莊×岩淵茶舗のコラボ

名月莊が30周年で計画しているのは、野点のだてを提供するカウンターバーの増設です。

パートナーは「岩淵茶舗いわぶちちゃほ」。1880年(明治13年)創業以来、山形のお茶文化を担ってきた老舗です。2代目の閉店危機を乗り越え、菓子製造の「山から」が事業を承継。現在は4代目が「お茶と菓で岩淵」としてその灯を守り続けています。老舗の文化を地域の新たなプレイヤーがつないだこの物語は、CAMPFIREのプロジェクトページにも「老舗茶店とのコラボレーション」と刻まれています。

これまで名月莊には、予約なしで訪れられる場所がありませんでした。このカウンター茶房は、70年の歴史で初めて旅館の敷地を地域に開く試みです。泊まらなくても、ふらりと立ち寄ってお茶を楽しめる。宿泊客と地域住民が同じカウンターで山形のお茶を飲む——そんな風景を目指しています。

もうひとつの柱が、バリアフリー客室の整備です。足腰に不安のある方や車椅子の方にも、名月莊の「何もしない贅沢」を届けたい。カウンター茶房と客室整備、その双方を合わせた決して小さくない総事業費をかけて、この挑戦は進められています。

名月莊 30周年プロジェクト クラウドファンディングページ

クラウドファンディングで「一生のお付き合い」を広げる

目標金額を掲げ、期間は2026年3月20日〜5月31日。クラウドファンディング開始前に、すでに常連客から多額の寄付が届いていました。

www.youtube.com

名月莊のクラウドファンディングは2026年3月20日に開始し、5月31日までの約2ヶ月間で目標とする支援を募ります。

特筆すべきは、クラウドファンディング開始前の段階で、常連客からの寄付が集まっていたことです。「この旅館を応援したい」という気持ちが、制度より先に動いていました。クラウドファンディングはその輪をさらに広げる手段として位置づけられています。

リターンには、優先宿泊権や、宿の夕朝食で提供されているお米とお魚の西京漬けセットが用意されています。どれも「名月莊に来る理由」そのもの。応援のかたちが、そのまま再訪のきっかけになるのは嬉しい設計です。

このプロジェクトは、単なる施設改修ではありません。「宿泊客だけの世界」を守ってきた旅館が、常連客との「一生のお付き合い」に新しい顔を加えようとしています。

名月莊が作ろうとしているのは、旅館の改修ではなく「入口」です。70年近く、宿泊客だけに開かれていた空間に、初めて地域との接点が生まれる。その挑戦を支えてみませんか。

クラウドファンディングで応援する
名月莊30周年プロジェクトの詳細とリターンは、以下のページからご覧いただけます。
名月莊 30周年プロジェクト クラウドファンディングページ

泊まりに行く
名月莊の予約・アクセス情報は公式サイトをご確認ください。
名月莊 公式サイト

※本記事は2026年3月17日時点の情報に基づいています。訪問・支援の際は、最新の情報を各公式サイトでご確認ください。

※クラウドファンディング内容は変更になる場合があります。

※本記事で紹介するクラウドファンディングは、CAMPFIREのプラットフォームで実施されています。

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