10/22同日開催!京都の時代祭&鞍馬の火祭 ~時代と炎が交差する一日~

大阪・関西万博は幕を閉じましたが、関西を楽しむ本番はここから。京都では毎年10月22日、昼に「時代祭(じだいまつり)」、夜に「鞍馬(くらま)の火祭」が行われます。
今回は、この2つの祭りの見どころを紹介。地域に受け継がれてきた祈りと美意識を、落ち着いて味わってみませんか。

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時代祭(じだいまつり):考証が息づく“逆行”の美学

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時代祭は平安神宮(へいあんじんぐう)の大祭。1895(明治28)年の平安遷都1100年と平安神宮の創建を機に始まりました。行列は正午、京都御所・建礼門前から発輦し、京都御苑の外周 → 御池通(おいけどおり)を通って平安神宮へ向かいます。行列距離は約4.6km(出典により表記差あり)、所要は約2時間〜2時間30分とされています(年により差あり)。

逆年代順の意味

先頭は明治維新列。そこから江戸 → 安土桃山 → 室町 → 吉野 → 鎌倉 → 藤原 → 延暦へと時代を巻き戻します。過去へ歩む行列を見送る構成は、観覧者が“いま立つ京都”と歴史の層を重ね合わせる体験を促します。

御鳳輦(ごほうれん)と“動く資料”

核となるのは御鳳輦。桓武天皇と孝明天皇をお遷しした輿を中心に、各時代の列が護衛のように連なります。装束・武具・輿は、長年の復元考証にもとづく“動く資料”まさに動態保存と呼ぶにふさわしい営みです。

見どころ:直線の奥行きと静けさ

御苑外周や御池通の長い直線では、前 → 側面 → 後ろと視点を切り替えるだけで列の遠近感が際立ちます。衣裳の重なり、馬の歩み、車輪のきしみ、布ずれの音まで感じられます。祇園祭の華やかさとは異なり、時代祭は「距離の美学」。一歩引いて全体を見通すほど満足度が上がります。

開催と観覧席

時代祭は毎年10月22日に実施(荒天時は順延の可能性)。有料観覧席は京都市観光協会(DMO KYOTO)が準備・販売する年があり、収益の一部が祭礼の保存・支援に活用されます。販売開始時期や席位置は、最新の公式告知を確認しましょう。

「時代祭」有料観覧席券の販売について | 公益社団法人 京都市観光協会(DMO KYOTO)

鞍馬(くらま)の火祭:点火がつなぐ“熱の連鎖”

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起源と進行

鞍馬の火祭は由岐神社(ゆきじんじゃ)の例祭で、毎年10月22日に行われます。天慶3(940)年、由岐大明神を内裏から鞍馬へ遷した故事に由来すると伝わります。夕刻の合図「神事にまいらっしゃれ」で各戸の篝(エジ)が一斉点火。小松明(少年) → 大松明(青年)と火勢が増し、やがて山門前に人と炎が渦のように集結。「サイレイ、サイリョウ」の掛け声と鉦太鼓が重なり、2基の神輿が石段を降りるクライマックスへ。

地形と身体感覚

舞台は鞍馬街道と周辺の路地。狭さ・起伏・暗さが、炎のスケールを身体サイズへ引き寄せ、熱・煙・音が交わる“劇場”を生みます。押さない・走らない・無理をしないが鉄則。退避の余白を確保できる位置取りを意識しましょう。

時代祭と鞍馬の火祭を比較

観点 時代祭 鞍馬の火祭
美術 復元考証の装束・輿=動く歴史絵巻 炎・煤・松明=即興の視覚彫刻
:足音・車輪・布ずれ :掛け声・鉦太鼓・燃焼音
身体 距離の美学(俯瞰・奥行きを味わう) 体感の美学(熱・煙・圧の中に身を置く)
空間 都市の大路(御苑・御池通) 山里の路地(鞍馬街道・山門前)
時間 逆年代順で記憶を束ね直す 点火の連鎖で現在を起動する

美術 —「作られた再現」か「その場で生まれる造形」か
時代祭は綿密な復元考証にもとづく装束・輿が主役。完成度の高い“動く歴史絵巻”を、距離をとって全体構図で味わうのが向いています。
対して鞍馬の火祭は、炎・煙・煤が風向きや湿度で形を変える“即興の彫刻”。その瞬間にしかない造形が立ち上がるので、同じ場所でも時間をずらすと見え方が一変します。

音 —「静の情報」か「動の高揚」か
時代祭は足音・車輪のきしみ・布ずれなど微細音が魅力。雑踏から一歩引くほど音が浮き上がります。
鞍馬の火祭は掛け声・鉦太鼓・燃焼音が重なって高揚をつくるタイプ。近づくほど体感は強まりますが、音量・熱量も増すので無理は禁物です。

身体 —「俯瞰して読む」か「包まれて感じる」か
時代祭は“距離の美学”。前・側面・後ろへ視点を切り替えて、列の遠近やリズムを読むと理解が深まります。
鞍馬の火祭は“体感の美学”。熱・煙・圧の中に身を置くほど記憶に残りますが、退避の余白を確保できる位置取りを最優先に。

空間 —「都市の直線」か「山里の路地」か
時代祭の御苑外周・御池通は直線の抜けが絵づくりしやすい環境。望遠も広角も活かせます。
鞍馬の火祭は狭い路地と起伏が舞台。見切れやすく視界も変わりやすいので、“動線の端”や“段差の上”など、少し離れて高さのある場所が安定します。

時間 —「逆年代で束ね直す」か「点火の連鎖で起動する」か
時代祭は明治から延暦へ巻き戻す“編集”の時間。過去の層が現在に接続されていく感覚を、行列全体で把握すると腑に落ちます。
鞍馬の火祭は篝(エジ)→小松明→大松明→神輿へ熱が増幅する“起動”の時間。火が渡るたびに共同体のテンポが上がっていく流れを追うのがコツです。

鑑賞の作法と「記録」のマナー

  • 距離の配慮:最前列にこだわらない選択が、結果的に良い鑑賞になる場面があります。

  • 機材の配慮:撮影は短時間・最小限の機材が基本。三脚の長時間占有やドローンは不可。係員指示に従いましょう。

  • 安全の配慮:子どもや高齢者と一緒なら退避しやすい位置を。早めの撤収も賢明です。

  • 保存への配慮:時代祭の有料観覧席は保存継承の支えになっています(年により運用は異なります)。

アクセス方法(公共交通推奨・10/22は大混雑)

時代祭(京都御所・御池通・平安神宮 周辺)

  • 京都御所(京都御苑)へ:地下鉄烏丸線「今出川」または「丸太町」から徒歩圏。行列終盤の観覧地である平安神宮へは、地下鉄東西線「東山」駅から徒歩約10分がわかりやすい動線です。京阪「三条」「神宮丸太町」からも徒歩圏。公式観光サイトでも東西線・市バス経路が案内されています。

  • 有料観覧席(年により設置):京都市観光協会(DMO KYOTO)が販売する年があります。最新の告知を確認しましょう。

「時代祭」有料観覧席券の販売について | 公益社団法人 京都市観光協会(DMO KYOTO)

鞍馬の火祭(由岐神社・鞍馬街道 周辺)

  • 基本ルート:京阪「出町柳」(叡山電鉄の起点と直結)」→ 叡山電鉄に乗り換え「鞍馬」下車。駅から会場一帯までは徒歩圏です。10/22当日は車両規制やバス運休・減便が生じやすく、鉄道利用が最も確実です。

  • 所要の目安:叡電 出町柳→鞍馬は約30分前後。混雑により増減します。

  • 混雑と規制:夕刻以降は駅・沿道とも極端に混雑。入場・乗車制限や車両規制、バスの運休・減便が生じやすく、鉄道利用が最も確実です。

“はしご”動線(例:御池通観覧 → 鞍馬)

  1. 御池通周辺で時代祭を観覧(京都市役所前〜烏丸御池エリアなど)。
  2. 鴨川沿いを徒歩で北上し、京阪「出町柳」へ(徒歩約15~25分)。バスより徒歩+鉄道の方が読みやすい場合が多いです。
  3. 出町柳で叡電に乗換 → 鞍馬へ(約30分前後)。御池通→出町柳→鞍馬の全体移動目安は35~45分+待ち時間。
  4. 平安神宮側で観覧した場合は、地下鉄東西線「東山」→(三条京阪で京阪乗換)→「出町柳」→ 叡電という乗継もシンプルです。

公式情報の確認

  • 時代祭:コース・観覧席・順延の案内は京都市観光協会(Kyoto Travel)および平安神宮の最新告知を確認しましょう。

  • 鞍馬の火祭:交通規制・誘導は京都市観光(Kyoto Travel)、叡山電鉄、日本政府観光局(JNTO)の案内を確認しましょう。

最新情報の確認:掲載内容は2025年10月16日時点の情報です。祭礼内容・順路・開始時刻・観覧席の有無、交通規制は年により変更されます。出発前に公式で最新情報を確認してください

メモ

  • 開催日:どちらも毎年10月22日。

  • 時代祭のコース:京都御所(正午頃発)→御池通→平安神宮(雨天順延の可能性あり)。

  • 鞍馬の火祭の進行:夕刻の合図→エジ一斉点火→小松明→大松明→山門前集結→神輿の降下。

  • 注意事項:混雑や安全面は年ごとに状況が変わります。訪問前に最新情報を必ず確認してください。

まとめ

10/22の京都は、昼の時代祭と夜の鞍馬の火祭が寄り添う一日。逆年代順の行列で歴史をたどり、松明の灯で“いま”を確かめる。衣裳や輿の細部、鉦太鼓の響きまでゆっくり味わえば、都市と山里に受け継がれた時間の重なりが、やさしく胸に残ります。

※本文は2025年10月16日時点の公式情報を参照しています。訪問時は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。祭礼の内容・順路・開始時刻・観覧席の有無などは、年により変更される場合があります。

【参考サイト】最終アクセスはすべて2025年10月16日

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