※記事で紹介した旅行商品を購入すると、売上の一部がSBIふるさとだよりに還元されることがあります
昨今、学生時代に習った教科をおさらいしながら、ゆかりのある旅先も一緒に楽しめる「教養×ガイド」本が注目を集めているようです。
そこで今回は、関東からアクセスのよい「ジオパーク」を取り上げます。
ジオパークとは、地質、地形、生態系、歴史、文化、景観など、人々の暮らしや産業など、地質に密接に関連する領域を切り口として整備される“地球と人間のかかわり”をテーマとする市民のための自然公園で、大人から子どもまで楽しめる場所です。
今年の夏は、壮大な景色を眺め、古の歴史ロマンを感じる旅に出ませんか?
参考:国立大学法人 島根大学「ジオパーク学プログラム(8単位)」(最終アクセス2024年7月12日)
- ジオパークとは?
- ジオパークは日本に何地域ある?
- ユネスコに認定されたジオパークは日本に10地域
- ジオパーク秩父(埼玉県)
- 銚子ジオパーク(千葉県)
- 筑波山地域ジオパーク(茨城県)
- 下仁田ジオパーク(群馬県)
- 箱根ジオパーク(神奈川県)
ジオパークとは?
そもそも、ジオパークとはどんなものでしょう?
「ジオパーク」という言葉は、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた造語です。
ジオパークは、地質学的に価値のあるサイトや景観が、保全、教育、持続可能な開発といった総合的なアプローチで管理運営されている一つのまとまった地域を指します。ジオパークで行われる保護活動、教育活動、持続可能な観光(サステイナブルツーリズム)などのあらゆる取り組みは、それぞれが有機的に連動することで、将来に渡って地球遺産を守り活かしながら、地域を活性化させていく推進力を生み出します。
引用:ジオパーク秩父公式サイト「ジオパークとは」(最終アクセス2024年7月12日)
ジオパークは日本に何地域ある?
現在、日本には日本ジオパーク委員会が認定した日本ジオパークは46地域(2023年5月時点)あります。
ユネスコに認定されたジオパークは日本に10地域
日本ジオパーク46地域のうち、10地域は「ユネスコ世界ジオパーク」です。
ユネスコ世界ジオパークは、ユネスコの定める基準に基づいて認定されるジオパークです。
ユネスコ世界ジオパークは、洞爺湖有珠山(北海道)、糸魚川(新潟県)、山陰海岸(鳥取、兵庫、京都)、室戸(高知県)、島原半島(長崎県)、隠岐(島根県)、阿蘇(熊本県)、アポイ岳(北海道)、伊豆半島(静岡県)、白山手取川(石川県)の10地域です。
参考:日本ジオパークネットワーク「日本のジオパークマップ」(最終アクセス2024年7月12日)
ジオパーク秩父(埼玉県)
埼玉県のジオパーク秩父は、都心から約90分とアクセス良好です。秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町の5つの市町で構成されている地域で、さまざまな地質時代の地層が観察できます。とくに「秩父古生層(ちちぶこせいそう)」が有名で、約2億年前の古生代に形成されたものです。また、雄大な自然景観も多く、三峯神社や羊山公園の芝桜、長瀞のライン下りなど、観光スポットも随所にあります。
ジオパーク秩父の見どころとアクセス
ジオパーク秩父の見どころとアクセス方法はこちらです。
浦山ダム付近[秩父帯の岩石・地形など]
彩甲斐街道(国道140号)を南に向かい、影森を過ぎて下り坂のカーブを左折すると盆地内の平坦な地形が一変し、急峻な地形の秩父帯に入ります。V字谷の出口に作られたダム堤の上は絶景ポイント。浦山ダム資料館「うららぴあ」2Fはジオパーク特設コーナーになっています。
浦山ダム資料館うららぴあ(埼玉県秩父市荒川久那4041)
橋立鍾乳洞
橋立鍾乳洞は、武甲山をつくる石灰岩体の西の端に位置する埼玉県唯一の観光洞です。鍾乳洞は石灰岩の割れ目に沿ってできたもので、入口から約150m、高さ30mほど登って出口に至る竪穴の洞窟です。石灰岩は、古生代ペルム紀のころ大洋の彼方ででき、海洋プレートによって運ばれ、中生代ジュラ紀にこの地に到達したと考えられ「付加体」と呼ばれます。
秩父鉄道浦山口駅から徒歩約15分(埼玉県秩父市上影森675)
前原の不整合[国指定天然記念物]
秩父盆地北側の隅、皆野町前原の荒川と赤平川が合流する左岸に、盆地の基盤である秩父帯と新第三系の不整合があります。基盤は破砕された粘板岩でジュラ紀のもの。上に重なるのはチャートや粘板岩の礫(基底礫岩)で、上にいくにつれ、砂岩へ移り変わっています。浸食され続けていた秩父帯の地層が新第三紀になって海におおわれ新しい地層が堆積したことを示しています。
秩父鉄道皆野駅より皆野橋経由徒歩25分。県道37号大淵交差点そば
犬木の不整合[国指定天然記念物]
秩父の山々を形作っている古生代・中生代の古い地層の上に、新生代の古秩父湾の地層が堆積しはじめた証を観察できます。「前原の不整合」と同じく、基底礫岩が観察できるほか、明瞭な断層を観察できます。近くの地層からはパレオパラドキシアの化石も発掘されています。
国道299号線沿い。秩父鉄道秩父駅より車で約45分。小鹿野高校を通過後約4㎞
取方の大露頭[国指定天然記念物]
小鹿野町層の砂岩泥岩互層が見られます。大きく曲がった地層は、海底の堆積物が斜面をすべり落ちてできた海底地すべり堆積物です。また、露頭最上部には、第四紀の段丘堆積物が見られ、明瞭な「斜交不整合」が観察できます。
吉田取方総合運動公園そば(埼玉県秩父市下吉田427)
ようばけ[国指定天然記念物]
「ようばけ」とは、「太陽のあたる崖」という意味合いだといわれていて、新第三系の秩父町層が露出する巨大な崖です。下半部は「奈倉層」、上半部は「鷺の巣層」で、付近からはチチブクジラなどの脊椎動物化石やカニ化石が発見されています。近くの「おがの化石館」は、小鹿野町般若で見つかったパレオパラドキシアの骨格(レプリカ)や、化石愛好者・地元の人が採取した化石を展示しています。
おがの化石館そば(埼玉県秩父郡小鹿野町下小鹿野453)
大野原パレオパラドキシア化石産地[国指定天然記念物]
昭和47年に発見され、昭和50年と52年に発掘された「パレオパラドキシア」大野原標本の産出地で、付近からは「チチブクジラ」の化石も発見されています。秩父の化石産地を象徴する露頭です。
秩父鉄道秩父駅より国道299号から県道44号経由。車で約15分
※露頭を対岸に見る広場まで道が狭く、未舗装の道もあるため注意
新田橋の礫岩露頭[国指定天然記念物]
秩父が湾であった終焉を示す、角のとがった角礫岩が観察できる代表露頭。この角礫岩は、古秩父湾の東縁に断層運動によって陸地が形成された際、周辺の陸域から供給されたものです。秩父郡横瀬町には大規模な露頭が残されている場所が少なく、古秩父湾の終焉を示す重要な露頭です。
ウオーターパークシラヤマ内(埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2042-1)。西武鉄道横瀬駅より徒歩で約15分
ミューズパーク展望台[高位段丘と地形の展望]
高位段丘(多摩期)の尾田蒔丘陵は、盆地の中を南北に連なり、「長尾根」と呼ばれてきました。尾根を越える小鹿坂峠は、小鹿野町と秩父市街地を最短距離で結んでいました。段丘上は水がなく長い間薪や炭をつくるための雑木林でしたが、平成3年7月に「ミューズパーク」として開業され、ウォーキングやテニスが楽しめます。段丘上ではローム層と段丘礫層が観察でき、「旅立ちの丘」や、展望台に立つと武甲山をはじめ秩父盆地を取り巻く山々、眼下に中位段丘の羊山丘陵や低位段丘上に広がる秩父市街地を眺めることができます。
秩父ミューズパーク内の野外ステージそば(埼玉県秩父市田村1377)
参考:日本ジオパークネットワーク「ジオパーク秩父」(最終アクセス2024年7月12日)
参考:ジオパーク秩父公式サイト(最終アクセス2024年7月12日)
「西武 旅するレストラン 52席の至福」
新宿発のレストラン列車で秩父へ!
有名店シェフ監修のコース料理を車内で味わえる「西武 旅するレストラン 52席の至福」は、池袋~西武秩父駅間、西武新宿~西武秩父駅間、西武新宿~本川越駅間などを走るレストラン列車(食堂列車)です。「52席の至福」というネーミングは、定員52人である観光電車の中で過ごす時間の「くつろぎ」や「特別感・限定感」が表現されていて、デザインは建築家の隈研吾氏が手がけています。
「西武 旅するレストラン 52席の至福」は、臨時電車として土休日を中心に年間100日程度の運行のため予約は争奪戦ですが、日によって空きもありますので、こまめにチェックしてみてください。
参考:西武 旅するレストラン 52席の至福 公式サイト(最終アクセス2024年7月12日)
銚子ジオパーク(千葉県)
銚子ジオパークは、東京駅から特急で2時間弱の千葉県銚子市を中心とする地域に広がる貴重な自然遺産です。太平洋に面した地理的特性から、豊かな海洋資源と多様な地質景観を誇り、とくに「犬吠埼(いぬぼうさき)の地層」や「屏風ヶ浦(びょうぶがうら)の断崖」が有名です。
また、銚子ジオパークは、地質学的な価値だけでなく、自然環境と人々の生活が密接に関わっている地域で、銚子港では新鮮な海産物が豊富に揚がり、地元の食文化を楽しむことができます。さらに銚子電鉄の沿線には歴史的な街並みや文化財が点在しています。
銚子ジオパークの見どころとアクセス
銚子ジオパークの見どころとアクセス方法はこちらです。
犬吠埼
関東最東端に位置する犬吠埼の大地は、「犬吠埼の白亜紀浅海堆積物」として国の天然記念物に指定されていて、約1.2億年前の水深が浅かったころの環境に特徴的な地質構造や生痕化石などが見られます。しかし、江戸時代から昭和初期頃にかけて、銚子石と呼ばれる砂岩が切り出されて、砥石として東京方面に運搬されて利用されていました。また、犬吠埼沖は、初夏には霧が発生しやすく、冬季には低気圧が発達しやすく、風波が強まるため、海上交通の難所でした。そのため1874年には灯台が建設され、世界灯台百選のひとつに選ばれています。
銚子電鉄「犬吠」駅下車、徒歩10分
犬岩・千騎ケ岩
犬岩は、犬の形をした巨大な岩体です。犬岩と千騎ケ岩は、国の名勝および天然記念物に指定されています。いずれも源義経に関する伝説が残されていて、これらは千葉県内で最古の地質時代(ジュラ紀)の岩体です。犬岩の隣には、犬若岬という眺めのよい高台があります。
JR銚子駅より千葉交通バス(千葉科学大学行き)終点下車、徒歩4分
屏風ケ浦
屏風ケ浦は、長さ約10km、高さ約20~60mの海食崖で、国の名勝および天然記念物に指定されています。地層がほぼ水平に広がって、下から上に堆積しています。屏風ケ浦はかつて、陸が現在よりも沖の方まで延びていましたが、大地が比較的柔らかいため、荒天時の波浪による浸食で年間約1m陸地が後退してきました。現在は、消波ブロックの設置により、浸食が抑えられています。
JR銚子駅より千葉交通バス(千葉科学大学行き)「千葉科学大学マリーナ前」下車、徒歩5分
地球の丸く見える丘展望館・愛宕山
銚子ジオパークの最も高い場所に位置し、標高73.6mの愛宕山。視界を遮るものがないので、銚子ジオパークを一望することができます。周囲330度が海に囲まれ、水平線が広がって見えます。また、地球の丸さを実感することができます。この大地は、犬岩・千騎ケ岩と同じく千葉県内で最古の地質時代(ジュラ紀)の岩体です。大きな地震で津波の原因となる大陸プレートと海洋プレートの境界付近で堆積した付加体です。この付加体という構造は、日本列島の骨格になっています。
銚子電鉄「外川駅」下車、徒歩13分
千人塚・岩石公園
千人塚は、利根川右岸の河口部に位置していて、慶長19年(1914年)に、銚子沖で多数の人命が被害に遭ったとされる海難事故が発生したことに関連した石碑が建てられています。この辺りの海は、日本三大海難所のひとつでした。とくに、河口が北東方向に向いている利根川と、冬季の北東からの強風とがぶつかってできる三角波が危険で、また、利根川河口の右岸側では岩礁(安山岩)、左岸側では砂による浅瀬であることも漁船の航行を困難にしていました。そこで、漁船が安全に航行できるように、1960年代に岩礁を除去し、現在の岩石公園に設置しました。
JR「銚子駅」より千葉交通バス(川口・ポートセンター行き)「川口千人塚」下車、徒歩2分
銚子ポートタワー・夫婦ケ鼻
銚子ポートタワーは、高さ57.7mのツインタワーで、銚子漁港、太平洋、利根川方面が一望できます。銚子ポートタワーの位置は、明治41年(1908年)に、日本で初めて無線電信局が開設された場所です。関東最東端に位置する銚子は、太平洋航行中の船舶との間で、無線通信を行うのに適した場所でした。この場所の地層は、日本が中国大陸東端から離れて、日本海が形成された頃に堆積しました。同時代の地層は、国内の陸地ではここでわずかに見られるだけで、現在は埋立地で水産加工場となっています。
JR銚子駅より千葉交通バス(川口・ポートセンター行き)「ポートセンター(終点)」下車
外川
外川漁港の歴史は銚子漁港よりも古く、江戸時代の万治元年(1658年)に初期の漁港が完成しました。やがて、イワシ漁により町は繁栄し「外川千軒大繁盛」と呼ばれるまでになりました。外川の街並みは昔の面影を残しています。
銚子電鉄「外川駅」下車
粟島台遺跡
粟島台遺跡は、ちば遺産100選のひとつです。縄文時代(約6,000~3,500年前)の遺跡で、銚子で採取された琥珀を加工して供給する拠点的な遺跡でだったと考えられています。銚子産の琥珀は、関東だけでなく、山梨県や長野県でも利用されていた可能性があり、また、漆で文様を描いた土器も見つかっていることから漆塗りの高い技術をもった職人がいたと考えられます。さらに、南方の椰子の実に漆を塗った容器も見つかったことから、黒潮の影響を受けた文化がうかがえます。
JR銚子駅より千葉交通バス(千葉科学大学行き)「三本松」下車、徒歩約4分
余山貝塚
余山貝塚は、縄文時代(約4,500~2,300年前頃)の遺跡で、銚子市史跡に指定されています。このころ、余山貝塚では、貝輪(腕に飾る装飾品)が多量に生産されていました。この貝輪は、比較的大きな貝(ベンケイガイやサトウガイ)にドーナツ状の穴を開けて使われていました。穴を開けるのに使用した道具は、銚子産の砂岩や安山岩だと考えられています。また、シカの角を利用した漁労具であるヤスやモリもたくさん見つかっています。
JR銚子駅より千葉交通バス(豊里ニュータウン行き)「余山」下車、徒歩約5分
小畑池
小畑池は、標高約10mで高神低地東端に位置し、現地調査により津波堆積物が堆積していることがわかっています。一方、古文書によれば、1677年の延宝房総沖地震において、東側の君ケ浜から津波が侵入し、砂丘の松林を倒して、背後の小畑池に辿りついたことが記載されています。
銚子電鉄「君ケ浜」駅から徒歩約6分。またはJR銚子駅より千葉交通バス(外川行き)「池ノ端」下車
参考:日本ジオパークネットワーク「銚子ジオパーク」(最終アクセス2024年7月12日)
参考:銚子ジオパーク公式サイト(最終アクセス2024年7月12日)
筑波山地域ジオパーク(茨城県)
東京・秋葉原から最速45分、つくば駅からは車で約40分の筑波山地域ジオパークは、茨城県中南部の石岡市・笠間市・つくば市・桜川市・土浦市・かすみがうら市の6市で構成されます。日本百名山のひとつ「筑波山」は、標高877メートルの二峰を持つ山で、「西の富士、東の筑波」と称される美しい山容を誇ります。筑波山の地質は、約3億年前の古生代に形成された花崗岩が特徴で、その独特の岩石や地形は訪れる人々を魅了します。
また、筑波山は古くから信仰の対象とされ、多くの神話や伝説が残る霊山でもあります。筑波山神社を訪れれば、歴史と文化に触れることができるでしょう。
筑波山地域ジオパークの見どころとアクセス
筑波山地域ジオパークの見どころとアクセス方法はこちらです。
筑波山山頂
男体山(なんたいさん)と女体山(にょたいさん)の山頂と、その周囲に分布する巨石や奇岩は、すべて斑れい岩でできています。これらの巨石や奇岩は、マグマの冷却過程で形成された多方向の割れ目と、地表露出後の風化・侵食がつくり出したものです。
つくばエクスプレスつくば駅から筑波山まで車で約40分、頂上まで徒歩で約1時間半
筑波山南麓
筑波山梅林には、過去の土石流などがもたらしたマサや斑れい岩の巨礫などからなる山麓緩斜面堆積物が分布します。また、林道沿いでは、筑波花崗岩が風化・侵食でもろくなり、マサ化していく様子を観察できます。
つくばエクスプレスつくば駅から車で約40分
崎浜・川尻
霞ヶ浦西方に位置する出島半島の南岸には、約7,000年~6,000年前の縄文海進時の波浪でつくられた侵食崖が発達しています。崎浜から川尻では、この地域に古東京湾が発達していた時代(約12万~13万年前)につくられたカキ化石床が、崖の中に見られます。カキ化石の保存状態から、化石床がつくられた時の環境が復元されています。
JR常磐線土浦駅から車で約25分
歩崎
出島半島先端の歩崎は、茨城県内で最初に指定された名勝地で、霞ヶ浦での水産業の発展に貢献した帆曳船(ほびきせん)発祥の地としても知られています。歩崎観音に向かう参道沿いでは、約10 万~8万年前の海面低下を示す地層が見られ、下部では破砕した貝化石を含む砂質堆積物が、中部ではよく成層した泥質堆積物が、上部では斜交葉理がよく発達した砂質堆積物を見ることができます。
JR常磐線土浦駅から車で約35分
笠間盆地
笠間盆地には、花崗岩の風化・侵食でできた粘土を多く含む地層が点在しています。石英粒子を多く含むこの粘土は蛙目(がいろめ)粘土とよばれ、江戸時代から続く国指定伝統的工芸品の笠間焼に用いられています。
JR水戸線笠間駅から車で約10~20分
山ノ荘
花崗岩と変成岩(雲母片岩)が広く分布しています。新治段々(東城寺採石場跡地)では、地下深部から上昇した花崗岩質マグマが、周囲の岩石を破壊しながら貫入し、熱変成させていった様子を観察することができます。また、近くの朝日峠展望台からは、眼下に関東平野と霞ヶ浦を見渡すことができます。
JR常磐線土浦駅から車で約30分
土浦
土浦城跡は、桜川河口の三角州の地形を巧みに利用して建てられた江戸時代の城郭跡です。水辺に浮かぶその姿は「亀城(きじょう)」とよばれ、現在も残る水堀がかつての地形の面影をとどめています。
JR常磐線土浦駅から徒歩で約15~30分
酒寄・椎尾
酒寄では、山麓斜面堆積物がつくる水はけのよい斜面と、冬季に形成される斜面温暖帯を利用した温州ミカン・福来(ふくれ)ミカンの栽培が盛んです。
椎尾山薬王院の境内に繁茂する樹齢数百年を超えるスダジイは、茨城県の天然記念物に指定されています。
つくばエクスプレスつくば駅から車で約1時間
高峯・富谷山
鶏足山塊の南端に位置する高峯から富谷山にかけては、今から約2億5千万年前~約1億5千万年前、「海溝」とよばれる深い海の底にたまった砂や泥でできた岩石が見られます。これらの山にある展望台からは、吾国山、加波山や筑波山の山並みと、岩瀬盆地や関東平野、そこを流れる桜川などの眺望を楽しむことができます。
つくばエクスプレスつくば駅から車で約1時間
高浜・石岡
高浜入りは、約2万年前の氷河期に恋瀬川の活発な削り込みによってできた深い谷が、大量の土砂で埋められてできた入り江です。また、沿岸にせまる台地縁辺の崖では、古東京湾がつくり出した砂や泥の地層を見ることができます。
JR常磐線高浜駅から車で約5~15分
参考:日本ジオパークネットワーク「筑波山地域ジオパーク」(最終アクセス2024年7月12日)
参考:筑波山地域ジオパーク公式サイト(最終アクセス2024年7月12日)
下仁田ジオパーク(群馬県)
都心から上信越自動車道で約1時間半の下仁田ジオパーク。下仁田町は古くから、ネギとコンニャクの名産地として知られていますが、独特の土壌や地形がネギとコンニャクの栽培に適しています。傾斜のある山から流れる川は強い水流を生み、水車を回す事でコンニャクの精粉に役立ちました。また、養蚕業が盛んでシルクの生産地としても知られ、蚕の卵を冷蔵保護する場として明治38年に営業を開始した「荒船風穴」は世界遺産に登録されています。
また、町の中心地から見える根なし山「跡倉(あとくら)クリッペ」の山々は、山の上と下で石が異なり、上の地層ははるか大昔移動してきて乗り上げたといわれていて、日本地質100選に選ばれています。
下仁田ジオパークの見どころとアクセス
下仁田ジオパークの見どころとアクセス方法はこちらです。
青岩公園
鏑川、南牧川の合流地点にある公園です。公園では16種の石が拾えますが、名前の由来となった青岩と呼ばれる緑色岩が特徴的です。
上信電鉄「下仁田駅」から徒歩5分
クリッペのすべり面
クリッペが動いてきた岩石と基盤の岩石の境目が観察できます。岩石の境目ではクリッペが移動する時に岩盤が擦れ合い基盤の岩石は粘土化しています。
上信電鉄「下仁田駅」から徒歩20分、自然史館駐車場から徒歩1分
宮室の逆転層
宮室の逆転層では、大きな力を受けて地層が上下さかさまになっているところと、正常に堆積しているところの両方をみることができます。
宮室ジオサイト駐車場から徒歩5分
蒔田不動の滝
高さ25mもある蒔田不動の滝は、クリッペを構成する地層のひとつ2億7千万年前の石英閃緑岩でできています。石英閃緑岩は周りの地層に比べて固いため滝を作っています。
上信越自動車道 下仁田インターから車で10分、ジオサイト駐車場から徒歩15分
妙義山
日本三大奇勝の一つ妙義山は、周辺の丘陵地帯に突然屏風のような壁がそり立つような山で山肌がごつごつしているのが特徴です。この妙義山は、600万年前に活動した火山から噴き出た火山噴出物が長い年月雨風に削られることで現在のようなかたちになりました。
上信越自動車道 下仁田I.Cから車で30分、中之岳神社駐車場駐車
荒船山
荒船山は山頂が平らな山です。なぜ平坦なのか?――それは700万年前の火山活動で地面に平らに流れた「荒船溶岩」が残ったものだと考えられています。
上信越自動車道 下仁田I.Cから車で45分、内山峠登山口駐車
神津牧場
神津牧場は地すべり地形を利用した日本最古の洋式牧場です。ジャージー牛を多く飼育していて、乳製品などの商品が人気を集めています。
上信越自動車道 下仁田I.Cから車で50分
川井の断層
川井の断層は、「大北野―岩山断層」と呼ばれ、西は九州まで伸びている大断層「中央構造線」の一部です。下仁田町は関東で最もよく「中央構造線」が見られる地域です。
上信電鉄「下仁田駅」から徒歩5分
奥栗山渓谷
奥栗山渓谷は、下仁田町の最高峰「白髪岩」から流れる栗山川が、1億年前の深海底に降り積もってできたチャートを削って深い渓谷を作っています。渓谷内には「三段の滝」「昇龍の滝」と呼ばれる滝なども巡れる散策コースが整備されています。色とりどりのチャートを河川が削って、美しい景観を織りなしています。
上信越自動車道 下仁田I.Cから車で30分、栗山緑地公園駐車
稲含山
稲含山は、甘楽富岡を代表する標高1370m、東西に尾根を連ねる独立峰です。中腹から山頂にかけて風化侵食に強いチャートが多く、断崖の多い険しい山になっています。
上信越自動車道 下仁田I.Cから車で50分、稲含山登山道入り口
参考:日本ジオパークネットワーク「下仁田ジオパーク」(最終アクセス2024年7月12日)
参考:下仁田ジオパーク公式サイト(最終アクセス2024年7月12日)
箱根ジオパーク(神奈川県)
東京都心からわずか90kmに位置する箱根ジオパークは、神奈川県西部の箱根町・小田原市・真鶴町・湯河原町・南足柄市の2市3町の全域をエリアとしています。箱根火山の恵みである美しい景観と豊かな自然、多様な泉質の温泉に恵まれた国際観光地で、とくに大涌谷は、現在も硫黄の噴気が立ち上る活発な地熱地帯です。また、火山のカルデラ湖である芦ノ湖は、四季折々の自然と調和し、多くの観光客を魅了します。
箱根ジオパークの見どころとアクセス
箱根ジオパークの見どころとアクセス方法はこちらです。
大涌谷
大涌谷は、およそ3,000年前に神山が大きく崩れてできました。正面にそびえる三角形にとがった山は、大崩れの後に始まった火山活動でできた冠ヶ岳です。大涌谷の周辺では、火山ガスを含んだ噴気に耐える植物が生えています。また、噴気を利用して作られた温泉は、周辺の宿に供給されていて、大涌谷の温泉でしかできない黒たまごは観光客に人気です。
箱根ロープウェイ「大涌谷」駅下車すぐ
駒ケ岳
駒ヶ岳は、箱根火山の中央火口丘のひとつで標高は1,356mあります。山麓にはハコネコメツツジなど箱根を代表する植物がみられます。地形を見ると何枚もの溶岩が流れたことがわかり、成層火山であることがわかります。頂上付近には「馬降石」や「馬乗石」などの『古事記』に残る伝説に基づく遺跡があり、神山とともに古くから信仰を集めていた霊地でした。現在は奈良時代に萬巻上人によって開かれた箱根神社の元宮が祀られています。
箱根園から駒ヶ岳ロープウェイ「駒ヶ岳山頂」下車
仙石原湿原
仙石原湿原は、箱根火山のカルデラ内の北部に広がる湿原です。かつてこの地域は、箱根外輪山のなかにできた仙石原湖の一部でしたが、約3000年前、中央火口丘である神山の山体が崩壊し、大量の土砂が湖に流れ込みました。さらに、神山の崩壊部に上昇してきた冠ヶ岳が繰り返し火砕流を流し、その土砂も湖に流れ込み、湖が埋め立てられて、現在の仙石原湿原ができました。
箱根湿生花園
1. 箱根登山電車「箱根湯本」駅から箱根登山バス「湖尻桃源台」行き「仙石案内所前」下車 、徒歩8分
2. 箱根登山電車「強羅」駅から施設めぐりバス「湿生花園前」下車
大観山
大観山は、箱根外輪山の南東に位置する絶景ポイントです。
北側の展望台からは、外輪山の山々、カルデラ内の芦ノ湖や後期中央火口丘の駒ヶ岳、二子山、前期中央火口丘の屏風山や浅間山が一望のもとに見渡せます。南側の展望台からは、伊豆の天城山、大室山、伊豆七島の大島、神津島などが見えます。
・MAZDAターンパイク「小田原早川」から車で20分
・JR「湯河原」駅から箱根登山バス大観山経由元箱根町行き、「大観山」バス停下車(約40分)
元箱根石仏群
精進池周辺は、中世の箱根越えとして利用された湯坂道が通りますが、各所に噴気が立ち上る荒涼たる風景であったことから、人々から地獄と恐れられました。それゆえこの周辺には地蔵信仰に基づく石仏や石塔が数多く建てられ、祀られました。石仏や石塔の材料となった溶岩は、後期中央火口丘の上二子山もしくは駒ヶ岳の溶岩です。元箱根石仏群が建立されたのは、13世紀末から14世紀初頭です。
箱根登山鉄道「箱根湯本」駅から「箱根町」行きバス「六道地蔵」下車
小田原城と小田原用水
小田原城は、伊勢新九郎(北条早雲)以後、5代、約100年にわたって北条氏の本拠となる城でした。当時の城では石垣をほとんど用いず、関東ローム層を掘りぬいた空堀と土塁で構成されていました。北条氏が豊臣秀吉の小田原攻めで滅亡し、江戸時代を迎えると、小田原城は箱根火山の安山岩で築かれた石垣を備える近世の城郭として生まれ変わりました。
■小田原城
JR・小田急「小田原」駅より徒歩10分
■小田原用水
箱根登山電車「箱根板橋」駅より徒歩10分程度(小田原用水取入口)
※説明板は板橋692番地(駅より徒歩5分程度の場所)付近に設置
石垣山一夜城
1590年(天正18年)、小田原城に立て籠もる北条氏を攻めるため、箱根外輪山外周の尾根上に豊臣秀吉が築いた総石垣の城で、国の指定史跡となっています。石垣は小田原城とは異なり、加工を加えていない安山岩を用いた野面(のづら)積みという積み方で、石垣に使われている石は周辺の山を構成する箱根火山の溶岩です。
[電車]
・JR早川駅より関白農道を経て徒歩約40分
・箱根登山鉄道入生田駅より徒歩約50分
[車]
・西湘バイパスから
「小田原IC」で降り、国道1号「山王橋」交差点左折、国道1号を道なり箱根方面へ約2.9km先。「板橋」交差点左折、約350m先「ターンパイク入口」交差点左折、約260m先の新幹線高架手前を右折、約70m先を右折し道なり約1.8kmで駐車場
・小田原厚木道路から
小田原厚木道路「小田原西IC」で降り国道135号方面へ約860m先の新幹線高架手前を右折、約70m先を右折し、道なり約1.8kmで駐車場
三ツ石海岸
真鶴半島の一番先には、三つの巨大な岩が突き出ていますが、三つの岩があるので「三ツ石海岸」と呼ばれています。この三つの大きな岩をつくるのは、真鶴半島とおなじく、約15万年前にできた溶岩で、海面が大きくさがる大潮の干潮時には、大岩まで歩いて渡ることができます。
JR「真鶴」駅より、「ケープ真鶴行き」バス終点下車
幕山
幕山は、約15万年前に噴火した火山の溶岩が冷えて固まってできた山です。山の中腹には大きな柱のような形をした岩壁が見えますが、これらは柱状節理と呼ばれるもので、溶岩が冷えて固まるときにできる形状です。
JR湯河原駅より 鍛冶屋・幕山公園 行きバス「幕山公園」下車
不動滝
不動滝は、湯河原町の奥湯河原にある落差15mの滝です。滝をつくる崖は湯河原火山から噴出した溶岩や火山灰が固まってできた岩石でできています。湯河原火山の岩石の中には、沸石と呼ばれる白くてもろい鉱物が産出します。
JR「湯河原」駅より、不動滝・奥湯河原方面行きバス「不動滝」下車
矢倉岳(やぐらだけ)
矢倉岳は、約115万年前に足柄層へ貫入したマグマが地下深くで冷え固まった深成岩体です。その後、プレートの圧力により標高870mまで隆起した、世界的にも極めて新しい岩体で石英閃緑岩からなります。
箱根登山バス地蔵堂行き10分「矢倉沢」下車
夕日の滝
夕日の滝断層の活動により箱根火山堆積物と足柄層群が接し、箱根外輪山を水源とする内川が、下流の軟質な足柄層群を浸食して、夕日の滝を形成しました。付近の露頭ではほぼ垂直になった足柄層を観察でき、大地の変動を体感することができます。
箱根登山バス地蔵堂行き25分「地蔵堂」下車、徒歩15分
参考:日本ジオパークネットワーク「箱根ジオパーク」(最終アクセス2024年7月12日)
参考:箱根ジオパーク公式サイト(最終アクセス2024年7月12日)
箱根に行くなら温泉は外せない!
強羅に佇む全41室の上質宿「強羅花壇」
箱根・強羅に佇む全41室の「強羅花壇」は、日本古来の素材と現代的表現を併せ持つ温泉旅館です。平成3年に世界的に有名なホテルレストラングループ「ルレ・エ・シャトー」の厳選な審査を受け、加盟店となり、海外からの賓客からも高い評価を得ています。
強羅花壇では3本の源泉を所有していて、内2本は庭園内より湧出する自家源泉。泉質は弱アルカリ性単純温泉、無色透明な温泉は肌に優しく、冷え症や疲労回復に効能があります。
食事は、全国各地から厳選された食材に加え、相模湾・駿河湾より獲れたての新鮮な魚介類を用い、四季の彩りを映した目にも鮮やかな本格懐石料理が楽しめます。また、日本酒、焼酎、品質の高いシャンパン、ワインなどが豊富に揃っています。
箱根の雄大な自然を満喫した後は、おいしい食事を楽しみ、温泉に浸かって、ゆっくり身体を休めましょう。
夏休みは、地域から地球、そして地球から地域を探る「ジオパーク」へ出かけませんか。